建設業法での「営業所」というのは、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことをいいます。
「営業所」という名称を付けているから営業所として扱われるわけではありませんので、逆にいえば「事務所」「オフィス」といった名称でも、実質的に建設業の営業所であれば「営業所」として取り扱われることになります。
建設業法では、この営業所をどこに幾つ設置するかによって、都道府県知事の建設業許可を取得する必要があるのか、国土交通大臣の建設業許可を取得する必要があるのか、区別して定めています。
建設業許可と建設業の「営業所」
1つの都道府県内にすべての営業所がある場合は、その都道府県知事の建設業許可を取得する必要があります。複数の都道府県に営業所がある場合は、知事ではなく国土交通大臣の建設業許可を取得することになります。
ちなみに、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」というのは、具体的にはいわゆる営業所のように机や椅子、応接セット、電話、表札などが設置されていて、その場所で契約や契約のための打ち合わせなどが可能であり、また他社などから独立した状態である事務所のことです。(もちろん、その場所を合法的に利用できる権利の存在(たとえば賃貸借契約など)が前提となります)
この際、軽微な工事であれば建設業許可は不要ですが、営業所と許可制度の関係から、それらの状況によっては「許可を取得することによって営業できなくなってしまう」営業所が生じる可能性があるため、この点には注意しながら許可申請を進める必要があります。
注意しなければならないケース
具体的には、以下のような場合です。
- 東京と千葉の営業所で、軽微な内装工事を請け負っていた会社が、東京で内装工事業の建設業許可を取得するケース
許可前の状態では軽微な工事しか請け負っていませんので、東京の営業所でも千葉の営業所でも、内装工事業を(軽微な工事の範囲内で)営業することが可能ですし、後者も内装工事と管工事とも営業が可能です。
ところが、たとえば東京で内装工事業の許可を取得した場合、東京の営業所では500万円を超える(軽微ではない)内装工事を請け負うことが可能になる一方、千葉の営業所では軽微な工事であっても内装工事を請け負う(契約を締結する)ことができなくなってしまいます。
- 「建設業許可を取れば業務を拡大できる」
- 「より広い範囲からの請負契約を受注できる」
- 「大きな工事を請け負えるようになる」
建設業許可については上のようなイメージが強いですが、営業所と許可制度の関係から、建設業許可を取得することで営業活動を縮小せざるをえないケースもあるため、許可を取得するメリットとデメリット、両者をよく考えての判断が求められることになります。