1件につき500万円以上の工事を請け負う場合(建築一式の場合は原則、1,500万円以上)、予め管轄の行政庁より建設業許可を受けておかなければなりません。
建設業者様においては、建設業許可の必要な「建設業」のみに留まらず、その他の業務も合わせて受任していることも多いのではないでしょうか。
ここでは、建設業許可と合わせて、建設業者様が取得することの多い営業許可・免許について紹介していきます。
産業廃棄物収集運搬業の許可
建設現場から排出される建設廃材は、工事を請け負った会社が自分で運搬する場合には許可を受けることなく可能です。しかし、このような場合、一般的には元請業者が自社で搬出するのではなく、下請業者に工事の一部を請け負わせるのと同時に、そこで排出される建設廃材も合わせて運搬を依頼するケースが多いのではないでしょうか。
このように、自社ではなく他社に産業廃棄物の搬出(運搬)を依頼する場合は原則、その依頼を受ける側の下請業者が産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しておかなければなりません。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、建設業許可ほど経営や技術に関する人の要件を求められないため、要件的には比較的クリアしやすい許可ともいえます。しかし、たとえば東京都の建設現場で排出された廃材を埼玉県まで運搬するような場合、東京都の産業廃棄物収集運搬業の許可だけでなく、運搬先である埼玉県の産業廃棄物収集運搬業の許可も合わせて取得しておかなければならないため、許可申請先の管轄行政庁が多数になって手続きが進めにくい面があります。
とはいえ、下請として現場に入る建設会社であれば、建設現場から出た廃材の運搬を依頼される可能性は十分考えられるため、その可能性が一定程度あるなら早めに許可の取得を行っておくほうがよいでしょう。
建築士事務所登録
建築士法第23条では、以下のような業務を行う場合に建築士事務所としての登録が義務づけられています。
- 建築物の設計
- 建築物の工事監理
- 建築工事契約に関する事務
- 建築工事の指導監督
- 建築物に関する調査または鑑定
- 建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理
実際に設計する事務所だけでなく、建築工事の契約事務を行う事務所も、通常は建築士事務所登録が必要となります。
比較的規模の大きな建設会社では、事務契約のみを行う事務所なら登録しなくて済むと勘違いされているケースも見受けられますが、この点は注意を要します。
一般的には建築一式の建設業許可を取得する建設業者において、建築士事務所の登録も合わせて行うことが多いです。
宅地建物取引業免許
賃貸・売買などを行う不動産業を新たに開業するとき(または既存の会社に新規事業として立ち上げるとき)は、あらかじめ不動産業の事務所を設置する場所の都道府県知事から宅地建物取引業免許(宅建業免許)を受けておかなければなりません。
建設工事を請け負っていた建設会社様が、今後は建売住宅の販売にも業務を広げていこうといったときなどに、宅地建物取引業の免許を申請することになります。
申請の際は、専任宅地建物取引士の設置など、免許の要件を満たさなければなりません。
電気工事業者の登録
電気工事の建設業許可を取得した建設会社様が、他者から依頼を受けて自ら電気工事(一般用電気工作物、一般用電気工作物及び自家用電気工作物の工事)を行う場合には、原則、電気工事業者の登録(みなし登録)を行っておかなければなりません。
産業廃棄物収集運搬業の許可のときは、自ら行う場合ではなく下請業者に排出を依頼する場合に、その下請業者が予め許可を取得する必要がありましたが、電気工事業の登録では「自ら」行う場合に登録が必要となるので、誰が、何を、どうするとき許可や登録を求められるかの基準には注意してください。
古物商許可
建設業者様が合わせて取得するというケースはあまり数は多くありませんが、たとえば解体工事を依頼された物件内に中古品が多数存在し、これらの中古品を買い取って業者に転売する際などには、予め公安委員会から古物商許可を受けておかなければなりません。